♦行動観察対策~合格のためのポイント~
小学校受験において行動観察テストを通して見極めようとしているのは、知能の高さや知識の量だけではありません。
実際の生活の中で使える「豊かな知識・経験」を発信する力があるかという点と、お友達同士の関わりの中で年齢相応の「社会性」が身についているか、
そして身に着けたものが「いつでも・どこでも・誰とでも」発揮できるかという点です。
このため入試の時点で子どもの本当の姿を見極めたいのです。
★「豊かな知識・経験」を発信する力
ほとんどの学校で行動観察を実施しています。行動観察という試験科目がなくても、
自由行動や絵画・制作、巧緻性、運動などで、「行動面でのチェック」が行われています。
待ち時間を利用して、ビデオ鑑賞、絵本読みなどを上級生と一緒に行う中で行動面をチェックしている学校もあります。
「テスト全体」を通して子どもの態度や行動をチェックするケースもあります。
どんな方法で行動観察が行われているかというと、
-自由遊び
-椅子取りゲーム
-食事
-制作
-ボール積み競争
-風船遊び
-音楽リズム(歌をうたいながら踊る)
-電車ごっこ
-動物などの模倣
-共同制作
-水族館つくり
-的当て(ペットボトルにボールを投げて倒す)
-身体表現
-お山つくり
-集団制作
など、さまざまです。
行動観察によって、入学後の集団生活に向いているかどうかがチェックされます。
ペーパーテストでどんなにいい成績をとっても、協調性がない、自分勝手、我が儘といったところがあると合格はむずかしいでしょう。
「椅子取りゲーム」のようにゲーム性のあるものでは、先生の指示を守らなかったり、
椅子に座れなくて泣き出したり、あるいはズルをすれば大幅に減点されます。
合否は面接を含めた総合点で決まるといわれていますが、友達にいじわるをしたとかケンカをしてしまったような場合、致命的な減点がつくと覚悟したほうがいいでしょう。
泣き出した子どもに対して慰めてあげた場面を試験官がたまたま見ていたというケースもあります。
行動観察はどんな子と一緒になるか、組み合わせによる運不運もあることを知っておいてください。
行動観察というと、お友達と仲良くする、先生の言うとおりにする、元気に返事をすれば
いい点をもらえると思っていると、意外な落とし穴があります。
待ち時間の間に試験官に話しかけられて「うるさいな」と言って落ちた子がいます。
待ち時間は試験ではないと思っていたから、教えられたとおりの受け答えができなかったのです。
試験会場に入るときに、乱雑に脱ぎ捨てたお子さんの靴をお母さんがきちんと揃えて
靴箱に入れたところをチェックされたケースもあります。
「自由遊び」とは、会場にブロックや絵本、算数セットなどがおいてあって、
文字通り「自由に遊ばせる」というテストです。
真っ先に自分の好きなブロックのところに行って遊ぶ子、
ブロックで遊んだかと思うと絵本のところに行くなど落ち着きのない子、
つまらなそうな表情で遊ぶ子、何をしていいかわからずにウロウロする子‥‥など、さまざまですが、どう評価するかは学校によって違いがあります。
「音楽リズム」「動物などの模倣」などでは、創造性や表現力、とっさの機転力、
ひらめきの有無などがポイントになるでしょう。
★「いつでも・どこでも・誰とでも」発揮できる力へ
楽しい時には思い切り楽しむ、けれども羽目をはずすことなく、周囲の状況にも目を配る。悪ふざけをする子がいても、自分で何が正しいかを判断して巻き込まれない。これは、入試のためだけでなく、人として生きていくうえでも、大切なことです。幼い子供に対しては、人に迷惑をかけた時、危険な事をした時はきっぱりと叱るけれども、根気強く具体的に「褒めて育てる」ということを通して「社会性」が身につくようにしていかなければなりません。